住職からみなさまへ

みなさま、はじめまして。

私は本増寺住職の木村勝行(きむら しょうぎょう)と申します。

私は、日本の伝統である仏教の一員であり、日蓮宗所属のお寺の住職です。私の理解する仏教は、間口も広く、その底辺も見えないほどに深い。このことに、私の好奇心はいつもつき動かされています。


 みなさんもご存じのように、仏教には「仏法僧」の三宝蔵の物語があります。これは「仏宝」の物語、「法宝」の物語、「僧宝」の物語という三篇からなっており、「仏法僧」は、有名な熟語です。鳥の名前にまでなっているポピュラーなものです。仏とはお釈迦様をはじめ、過去仏や現在仏、未来仏を含めて、三世の諸仏、十方の諸仏ということです。


 次に「法」ですが、これは仏の法であり、諸法実相という熟語があり、諸法の現われが実相であり、実相には必ず諸々の法則があるということです。様々な現象、その実相のうちに法則がある。そして虚と実、常と無常などを知り、悟ることができるというものです。


 最後に「僧」です。僧は出家、修行者、つまり仏教を実践しようとする人のことです。未来に仏になる人のことです。大乗仏教では、菩薩と読んでいます。仏教の長老や弟子たち、上座部の人たちも菩薩と呼んでいい人がたくさんいます。


 仏教の目指す国家、世界は真理という前に、真実を探求する国家、立国であり、世界は真実によってこそお互いに自由と平等、友愛、平和が実現できると信じています。なぜなら、真実の発見を日々の日課とするからであります。ですから、お寺とはみなさんのアドバイスや道を求める探究心によって、社会的な務めが果たせるのではないかと思います。<BR>


 仏教では、時事的な話題を避けることが美徳とされていますが、これは、歴史をリアルなものではなく、バーチャルな歴史とするものです。百害あって一利のない恐ろしいことです。なぜなら、これは一歩間違えれば、独善的な議論になるからです。


 最後になりましたが、大船渡市は東日本大震災で大きな被害を受けたところです。大勢の尊い犠牲を出しました。お寺も避難所として活動してきました。亡くなられた方のご冥福を申し上げるとともに、本市をはじめ被害に遭われた地域の早い復興をお祈りしたいと思います。

 皆様も近くにいらした際には、ぜひ、当山にもお参りください。


                               本増寺住職

                               木村 勝行